なぜ脳梗塞になると拘縮が起こるのか?
脳梗塞とは?
脳梗塞は、脳の動脈が詰まることによって生じる病気です。脳梗塞は様々な要因によって発症します。糖尿病や高脂血症などで血管が詰まりやすくなる以外に、高齢であることも発症のリスクとして挙げられます。老化によって動脈硬化や脱水になりやすいためです。
脳梗塞では詰まった部分より先に血液が送られなくなることで、様々な症状・後遺症が出現します。特に問題となるのが、手足の感覚・運動への影響です。脳梗塞を発症して、麻痺や痺れが残ってしまったという話を聞いたことがある人もいるでしょう。
麻痺して動きにくかったり、痺れがある場合には、「危ないから安静にしておこう」と思う人も多いですね。ですが、それは逆効果です。手足を動かさずにいると筋肉が衰え、関節も動きにくくなります。そうして最終的には、関節が固まって動かなくなる「拘縮」という症状が引き起こされるのです。
拘縮の恐ろしさ
拘縮の恐ろしさは、一度拘縮が起こってしまうと改善が難しい点にあります。
関節を動かさない状態が続くと、早くて2週間ほどで拘縮が始まります。4週間も経つとほぼ完全に関節は固まり、動かそうとすると痛みを伴うようになります。ここまで拘縮が進行してしまえば、理学療法士によるリハビリテーションを受けても、元の状態に戻らない可能性があります。
特に注意すべきなのが、足首の拘縮です。つま先が伸びた状態で拘縮することを「尖足」と言います。尖足が起こると歩行することができなくなって、寝たきり状態になってしまう人が多いため、拘縮を予防することが重要となります。
拘縮を予防するためには?
拘縮を予防するための対策として最も有効なのが、「運動」です。ここでいう運動はスポーツではなく、散歩や家事など日常の中の運動を指します。
麻痺や痺れがあっても、定期的に関節を動かしていれば拘縮は起こりにくくなります。しかし、もともと運動習慣がない人では特に、いきなり外に出かけるのは危険な場合があります。そんな場合には、家の中で運動することを検討してはいかがでしょうか。散歩に限らず、軽いストレッチや関節の屈曲運動、自宅での歩行でも効果があります。大切なのは自分のペースを掴み、運動を継続することです。
運動をする際に注意すべきことは?
転倒しやすいことに注意!
麻痺や痺れがある場合に注意すべきなのは、転倒しやすいことを念頭に置いて運動することです。転倒してしまうと、怪我をした部分にも配慮しながら運動することになります。するとさらに転倒しやすくなるという、負の連鎖に陥ってしまいます。
脳梗塞を発症する前と後とでは、身体の動かし方から違ってきます。脳梗塞にも程度があり、症状が軽度であれば問題なく運動出来ますが、重度の麻痺や痺れの場合には十分に注意しなければなりません。そのため、まず麻痺や痺れの程度を把握します。範囲はどこからどこまでなのか、どの程度ならば動かせることが出来るのか。感覚がどの程度あるのかも重要になるため、確認しましょう。
運動場所にも注意を
症状の程度が把握出来れば、次は運動する場所を調整します。自宅内で運動する場合には、床に置いてある荷物を片付ける必要があります。運動をする導線上に荷物が置かれていると、転倒する危険性が高まります。必要に応じて、家具のレイアウトを変えたり、手すりの設置・段差の解消などの住宅改修も行ないます。自宅の環境を整えることで、運動時の転倒の危険性をかなり減らすことが出来ます。
脳梗塞になる以前から、散歩や買い物などで外に出る機会があった人であれば、気分転換も兼ねて外出するのも良いですね。ただし、この場合にも転倒の危険があることは忘れてはいけません。まずは短距離から始め、問題なく歩行できるようであれば徐々に距離を伸ばすようにしましょう。
転倒予防プログラムとは?
また、「転倒予防プログラム」を実施している自治体もあります。転倒予防プログラムでは、転びにくい身体づくり支援の他、自宅の環境についてのアドバイスや調整などが受けられます。プログラムの内容は自治体によって異なります。自治体の地域包括支援センターに連絡すると、無料で相談を聞いてもらえるので、外出が出来るのであれば利用してみてはいかがでしょうか。
一人で運動が出来ない場合は、どうすれば良い?
一方、一人で運動するのが難しい場合では、介助者に手伝ってもらう必要があります。手足の曲げ伸ばしなどの運動を介助してもらうことで、拘縮の予防を行います。しかし少しでも動くのであれば、動く範囲を見極めて、出来ることは自分でしてもらうようにします。
例えば、食事の時は自分でお箸やスプーンを使って食べてもらう。ベッドの上で足の屈曲運動を習慣をつけてもらう。些細なことに思えますが、毎日継続することで筋力が維持・向上する効果が期待できます。
現在は老老介護や一人世帯が増えているため、介助してもらえる人が身近にいないケースも増えています。そんな場合には、病院や介護施設のリハビリテーションを活用すると良いでしょう。訪問リハビリテーションという自宅まで理学療法士が来てくれるサービスもあります。専門知識のあるスタッフ見守りの元、慣れた環境で運動することが出来るので安心ですね。